分断を生まない、より丁寧な見直しを。

私の所属する塩釜を元気にする会は、予算特別委員会において、議案第20号『塩竈市敬老金等支給条例の一部を改正する条例』の継続審査を求めましたが否決されたため、本会議において同議案に反対し、反対討論を行いました。

以下、反対討論の全文です。

議案第20号『塩竈市敬老金等支給条例の一部を改正する条例』に反対の会派を代表して、反対討論をします。

まず、令和3年9月議会に上程されました、議案第20号と同様の議案である議案第57号「塩竈市敬老金等支給条例の一部を改正する条例」についてですが、付託先の民生常任委員会において賛成少数で否決されました。その後に開催された本会議で委員長報告の後、佐藤光樹市長が発言を求め、「ご審査を賜りました議案第57号「塩竈市敬老金等支給条例の一部を改正する条例」につきまして、塩竈市議会会議規則第19条第1項の規定により、撤回させていただきたいと存じますので、よろしくお取り計らいくださいますようお願いを申し上げます。」と同議案の撤回がなされた経緯があります。

当時の委員長報告で、各委員より述べられた意見として、

  1. 年金が減り、負担が増える中で、敬老金の廃止や長寿祝金の削減がなぜ必要なのか疑問。
  2. 他の市でも同様の支給例があり、また、十分な検討が不足している。
  3. 財政状況が悪くない中で削減が必要とは考えにくい。
  4. 高齢化の進展による新しい施策の実施の原資とするという趣旨の説明であるが、新しい施策の実施と敬老金の廃止等は、別問題ではないか。
  5. 高齢化により、支給対象となる市民が増えたということであれば、支給年齢を今よりも繰り下げるという手法もあるのではないか。
  6. 高齢者福祉計画には令和5年度まで計画されているにもかかわらず、特段の理由がないまま計画変更を提案するのは疑問。

などがありました。

只今、令和6年度予算特別委員長よりご報告のありました議案20号と令和3年の9月議会の議案第57号の背景の違いを申し上げるならば、現在、策定に向けた準備を進めている第9期高齢者福祉計画(令和6年~令和8年の実施期間)は、議案20号の見直しを前提とした計画となっています。

また、一部の住民の皆さんを対象にしたアンケート結果を取り上げ、提案理由としています。

その点を踏まえて検討した結果、私たち塩釜を元気にする会としては、

  • 時代の変化は理解するものの、今回提案された代替事業が変化した社会問題を解決する手段とは考えにくいこと
  • 市民アンケートの結果も、同議案で提案されている様な対応を求める根拠とはならないこと

という、考えから、同議案を継続審査とし、これからの制度のあり方をさらに議論してほしいと予算特別委員会で申し上げました。採決の結果、継続審査とした主張が否決されたことから、同議案に対して、反対の立場を申し上げているところです。

この間、同様の問題に対する他の自治体の動きも調べさせていただきました。

他の自治体において、敬老金等支給の在り方を検討する審議会の委員長を経験した、関東学院大学法学部 牧瀬稔教授は、「ポイントは“共有”ですね。情報の共有、空間の共有、時間の共有。そこに敬意があれば、“共感”が生まれ、そして“共存”へと進みます。この件に限らず、議論の大前提ができていない自治体は多いので、まずはこうした場の作り方が重要だった」と述べられています。このような丁寧な対応をした結果、同教授が担当された自治体では、多くの皆さんの同意を得て、見直しが実現したそうです。

同教授は、「現状維持」や「縮小」「廃止」という結果だけの議論では、例えば『高齢者VS若い世代』など、事業の”恩恵を受けられる市民”と”受けられない市民”の間に“分断”が生まれ、後々まで尾を引くことになりかねないことを指摘されています。あわせて、それを防ぐためには、当初の主張や結論ばかりに目を向けるのではなく、意見を交換するプロセスを重視していく必要があることも指摘されています。

議案第20号の提案理由にもあります高齢者の見守りの在り方など、皆さんが住み慣れたこの地域で、多世代の住民がつながり助け合いながら、安心して生活できる社会を実現するためには、私たち市議会も一緒になり、住民の皆さんを巻き込んで、より良い塩竈市敬老金等支給の在り方を議論すべきではないでしょうか。

これは、同議案はもちろんのこと、厳しい財政状況の中で事業を精査していく際には大切な事だと考えます。

議員皆様には、ぜひ、ご賛同いただきますようお願い申し上げ、議案第20号『塩竈市敬老金等支給条例の一部を改正する条例』に反対する立場での討論といたします。

ご清聴ありがとうございました。

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