【議会報告】一般質問。「稼げる自治体」と「浦戸の持続可能な未来」への提言
皆さん、こんにちは。塩竈市議会議員のつちみ大介です。
先日、9月22日の塩竈市議会において、私は一般質問の場に立たせていただきました。テーマは「稼げる自治体」と「浦戸の振興策」の2点です。
稼げる自治体を目指して
なぜ今、「稼げる自治体」への転換が必要なのか?
かつて「塩竈に行けば食いっぱぐれることはない」とまで言われたこの街。しかし、私たちが今直面している現実は、人口減少、基幹産業である水産業の構造的な課題、そして財政の硬直化という、決して楽観視できないものです。
市の第6次長期総合計画においても、様々な事業が進められていますが、個別の努力が市全体の「稼ぐ力」の向上という大きなうねりに繋がっているか、まだ道半ばであると私は感じています。
この厳しい現状を乗り越えるには、これまでの延長線上ではない、大胆で戦略的な発想の転換が必要です。その思いから、私は「稼げる自治体」への変革を強く訴えました。
私の描く「稼げる塩竈」への5つの成長シナリオ
では、具体的にどうすれば塩竈は「稼ぐ力」を取り戻せるのか。私は、以下の5つの政策が相互に連携し、好循環を生み出す「一貫した成長シナリオ」を提言しました。
1.「塩竈水産イノベーション・ハブ」構想 本市の魂である水産業を、「量」から「質」へと転換させる挑戦です。IoTやAIで生産性を高め、これまで廃棄されていた魚のアラなどを化粧品や健康食品に変える「アップサイクル」を支援。単に魚を売るだけでなく、塩竈ならではの高付加価値なブランドを確立するための拠点です。
2.「塩竈ガストロノミーツーリズム」エコシステムの構築 「食の都・塩竈」の魅力を最大限に引き出し、ただ美味しいだけではない、「食文化を丸ごと体験できる」滞在型の観光を目指します。その司令塔として、専門家チーム(DMO)を設立し、仲卸市場などを核とした魅力的な体験コンテンツを開発・発信します。
3.「塩竈次世代事業」支援センターの設立 後継者不足という深刻な問題に対し、新たな挑戦者を呼び込みます。市場や商店街の空き店舗を、若者が低リスクで起業に挑戦できるインキュベーション施設として活用。事業承継やM&Aも積極的に支援し、地域経済の新陳代謝を促します。
4.「仙台・塩竈港シナジー」産業ゾーンの形成 巨大な仙台港と競うのではなく、「連携」する戦略です。塩竈港区は、得意分野である「高鮮度な食品物流」や「松島観光の玄関口」としての機能に特化することで、広域経済圏の中で確固たる地位を築きます。
5.「戦略的資金調達・公民連携」フレームワークの確立 「財源がないからできない」からの脱却です。本市の「将来への負債が少ない」という最大の強みを活かし、国の交付金や企業版ふるさと納税などを戦略的に獲得する専門チームを市長直轄で設置。民間や国の資金を呼び込み、共に事業を創り上げるパートナーへと進化すべきです。
これら5つの政策は、バラバラに動くのではありません。水産業の革新が新たな観光を生み、それが新しい挑戦者を呼び込み、市のブランド価値が高まる。この好循環を創り出すことが、私の描く成長シナリオです。
浦戸の再生について
浦戸諸島の未来を諦めない。統合的再生戦略
もう一つの大きなテーマは、塩竈の宝であり、アイデンティティでもある「浦戸諸島」の未来です。高齢化率50%超、生活インフラの課題など、「限界集落」とまで言われる厳しい現実に、私たちは正面から向き合わなければなりません。
私は、浦戸諸島の未来像を**「豊かな海洋遺産を継承し、新たな経済モデルを実装する、デジタルで繋がる活力ある群島」**と掲げ、その実現のために3つの柱からなる統合戦略を提言しました。
1.海洋経済の再構築 後継者不足に悩む漁業を、テクノロジーと新たな発想で再生します。「地域おこし協力隊」と島の漁業法人を連携させ、若者が漁師を目指せる育成プログラムを創設。また、ドローンなどを活用した物流イノベーションで、離島のハンデを克服します。
2.高付加価値・持続可能観光戦略 ただ景色を眺める観光から、島の暮らしや文化を深く体験できる滞在型観光へ。漁師の仕事を体験したり、古民家を改装した宿に泊まったりと、浦戸でしか味わえない本物の体験を提供。そのための専門組織を立ち上げ、戦略的に誘客を進めます。
3.「デジタル浦戸」の実現 近年整備された高速通信網は、浦戸の未来を大きく変える切り札です。「都会の喧騒を離れ、日本三景の絶景の中で創造的な仕事をする」という新しいライフスタイルを提案。移住してきたデジタル人材と、島の伝統産業が連携することで、新たなイノベーションを生み出す好循環を創り出します。
対話は続く。未来を共に創るために
今回の一般質問に対し、市長並びに市当局からは、私の提言する概念そのものにはご理解をいただけたと感じています。しかし、具体的な事業案となると、様々な課題を理由に「できない」という趣旨の答弁が多く、前向きな回答を得るには至りませんでした。
実現への道のりが、決して平坦ではないことを改めて突きつけられた形です。
しかし、私は全く悲観していません。むしろ、ここからが本当のスタートだと考えています。今回の提言は、未来の塩竈にとって「必要不可欠」なものであるという確信は、少しも揺らいでいません。
行政の論理、予算の制約、様々な壁があることは承知の上です。それでも、なぜこの挑戦が必要なのか。その一点を軸に、粘り強く担当部局との議論を続けてまいります。
そして何より、この挑戦には市民の皆様一人ひとりの声が必要です。「こんな塩竈に住みたい」「私たちの島をこうしてほしい」その想いが、行政を動かす最大の力となります。
この記事を読んで、少しでも共感していただける部分があれば、ぜひあなたの声をお聞かせください。一緒に、挑戦しがいのある、創造性に満ちた新しい塩竈を創っていきましょう。
ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
塩竈市議会議員 つちみ大介
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